糖尿病が悪くなると傷がなおりにくくなる《ウソなの?ホントなの?》

更新日: 公開日:
197view
記事提供:読むサプリ出版「新よむサプリシリーズ」
シェアする

糖尿病が悪くなると
傷がなおりにくくなる

重症の糖尿病患者で神経障害などがある場合は何か月も傷がなおらず、皮膚科の専門医の診察が必要になってくるほどであるが、糖尿病によってどうして傷のなおりが悪くなるのかは完全にはわかっていない。
しかし、重症の糖尿病では免疫力が低下し、細菌感染を起こしやすく、神経障害も進んでいるので痛みがわかりにくい。たとえ傷があっても発見が遅れ、その場所を安静にすることができないことなどが原因と考えられている。
また、動脈硬化による血流障害があったり、高血糖によって細胞そのものにダメージを受けていることも関係する。さらに重い腎症を合併していると、低アルブミン血症と腎不全による貧血から、きわめて傷がなおりにくい状態になる。
なお、初期から血糖のコントロールが良好な状態を維持している場合は、傷のなおりは正常である。
※低アルブミン血症とは…アルブミンとは血清タンパク質の1つで、細胞の間にあふれた水分を血管に吸収して水分量を調節する働きがある。アルブミンが極端に少なくなった低アルブミン血症を起こすと浮腫(むくみ)を引き起こす。

糖尿病を
ほうっておくと
長生きできない

糖尿病を無治療のまま放置すれば寿命が短くなるのは当然のことだ。特に1型糖尿病では糖尿病性の昏睡に陥り、短期間で死にいたることになる。
2型糖尿病でも治療せずに放置していると、糖尿病性合併症によって多くの場合、死にいたる(P61参照)。
糖尿病による合併症のなかでも、特に命にかかわるのが動脈硬化による虚血性心疾患と糖尿病性腎症である。動脈硬化による虚血性心疾患、いわゆる心筋梗塞は、糖尿病がそれほど重くない場合でも発症しやすい。糖尿病性腎症は血液透析を行なえば一時的には命を取りとめることができるが、2型糖尿病からの末期腎症の人は年齢も60歳を超えていることが多く、さらに動脈硬化が進み全身の血管も弱っているため、血液透析の結果は芳しくなく、半数が5年以内に亡くなるというデータもある。
これ以外に糖尿病では免疫機能が低下するため、感染症による死亡も少なくない。特に高齢者では糖尿病がそれほど悪化していなくても、感染を機会に症状が重くなり、高浸透圧性非ケトン性昏睡と呼ばれる状態がしばしば起こる。
しかし、発病後からしっかり治療を受け、糖尿病をうまくコントロールできれば糖尿病のない人と同じだけの寿命が期待できる。
※ 高浸透圧性非ケトン性昏睡…感染症などをきっかけに、血糖の上昇と水分の補給不足をおこし脱水状態となり、さらに進行すると意識障害も起こる。

飢餓状態に強い人
糖尿病になりやすい

糖尿病になりやすい人のなかには、エネルギー効率がよく、より少ないカロリーで生命を維持できる人がいる。このような人は本質的には飢餓状態に強いのだが、食物が豊富にある現代では、肥満から糖尿病にいたることも多くなる。
氷河期のように食物が限られている場合は、少ないエネルギーで生命を維持できるほうが有利である。それは、エネルギー効率を良くする方向に作用する倹約遺伝子がカラダに備わっているためだ。これらにはエネルギー消費に関係するβ3アドレナリン受容体遺伝子や脱共役遺伝子などがあり、京都府立医大の吉田俊秀氏(現在京都市立病院)らの研究によれば、この2つの遺伝子のタイプの組み合わせによっては1日最大300㎉も消費エネルギーに差が出ることになる。
つまり、氷河期ならほかの人より300㎉少なくても生存できることになるが、普通に食べると1日あたり40g、1年では15㎏も体重が増加してしまう計算となる。そのため、肥満から糖尿病になるリスクも高くなるのだ。
シェアする
読むサプリ編集室
「新よむサプリシリーズ」は、クイズ形式でのミニ知識<ウソなの?ホントなの?>や、ダイエットの真実を知る<薬膳レシピ>などを提供。根拠にもとづく健康選択ができるよう応援しています。
[記事提供:株式会社読むサプリ出版]