頭を守ってボケ防ぐ!1人暮らしも危険《ウソなの?ホントなの?》Vol.6

公開日:
39view
記事提供:読むサプリ出版「新よむサプリシリーズ」
シェアする

一人暮らし
老人はボケやすい

一人暮らしは気楽でいいとよくいわれるが、人から干渉されることもないし、人に気を使うこともない、勝手気ままでいいというわけだ。しかし、脳の状態からみると、これはいたって危険な状態ともいえる。

というのは脳にストレスがかかり過ぎるのもよくないが、まったく刺激(ストレス)がないのも、脳が活動不足を起こしボケの原因となる。
宇宙空間で生活すると、筋肉は萎縮してしまう。

骨折も治癒が遅くなる。これらは、すべて重力という適度な負荷が存在しなくなるためである。脳も適度な負荷がかからないと萎縮が起きてボケが始まる。

三世代同居でも老人が家族と交わらず、一人自室にこもったままテレビを見て一日を過ごしていれば、一人暮らし同様にコミュニケーション不足、脳の活動不足からボケやすくなる。かつての日本家屋は、プライバシーの確保が難しい反面、家族間の交流は多く、ボケ予防には理にかなった設計だといえる。

頭を強く打つ
記憶喪失になる

記憶は海馬を経て、大脳のさまざまな場所に保存される。その記憶が呼び出されづらくなるのが、ボケの始まりである。

「私はだれ?」

実は、アルツハイマーだろうが、脳血管性痴呆だろうが「私はだれそれ」という記憶は、病後期にならないとなくならない。「・・・さん!」と呼ぶと、必ず返事が返ってくる。他人の名前では返事は返ってこない。ボケでも、自分がだれかはかなり最後まで残る記憶なのである。

では、「冬のソナタ」の主人公はトラックにはねられ自分がだれかの記憶をなくしてしまった。これはいったいどういうことなのか。頭部外傷によって、記憶をなくすのはよくあるが、なくなる記憶は、事故前後の出来事に限られる(逆行性健忘)。

これは、強い衝撃によって、脳内で記憶物質(記憶するために必要な物質)が一時的に作られなくなるからである。記憶物質が作られない間のことは、記憶に蓄えられない。記憶にないのだから、思い出すことはできない。逆に言えば、自分がだれかという記憶はそれ以前に植え込まれた記憶であるから決してなくならない。

「ここはどこ? 私はだれ?」という記憶喪失は「全健忘」と呼ばれ多くは心因反応として、あるいは、一酸化炭素中毒の後遺症のような脳全般のダメージにより起こってくる。
してみると「冬のソナタ」の場合はどういうこと? 事故のみならず、大きな心的外傷が加わったのだと考えるしかなさそうだ。

頭を何度も
叩かれると将来
ボケやすくなる

頭部に殴打を繰り返し受けると脳挫傷といい脳組織に損傷を生じ、それがもとで外傷性痴呆になることがある。いわゆるパンチドランカーと呼ばれる状態である。「拳闘家痴呆」ということばもあるくらいで、スポーツとはいえボクシングを長い間続けるのは危険だ。
ボクサーの脳をみるとアルツハイマー型痴呆とおなじ老人斑や神経原線維変化が認められる。試合や練習でたえず頭を打たれることによって、脳に老化と同様の変化が生じたものと考えられている。また、脳挫傷の起こり方によっては、ドーパミンというホルモンの不足によってパーキンソン症候群という状態になることもある。
筋肉の動きが滑らかでなくなるこの病態は、見た目「ボケ」てきたように映る。あの偉大な元世界ヘビー級チャンピオンのモハメッド・アリのアテネ五輪における痛々しい姿は感動とともにお茶の間の話題になったのはまだ記憶に新しい。
ただし、「こらっ。勉強しなさい! ポカリ」ぐらいではこうはならないのでご安心を。
□主な参考図書
■大友英一「ボケにならない、進ませない」講談社(2002) ■テレビ東京「医食同源」編「痴呆・ぼけ」実業之日本社(2004) ■田平 武監修「ボケを防ぐ・抑える特効Book」主婦と生活社(2004) ■築山 節「若年性健忘症を治す」講談社(2004) ■松沢大樹編著「目で見る脳とこころ」NHK出版(2003) ■デヴィット・シェンク(松浦秀明訳)「だんだん記憶が消えていく」光文社(2002) ■川島隆太ほか「脳のなんでも小事典」技術評論社(2004) ■篠原幸人・水野美邦「脳神経疾患のみかたABC」日本医師会(1985)
□主な参照サイト
■本間昭ほか監修「痴呆症をあきらめない」 http://www.e-65.net/ ■痴呆症・医療情報公開 http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/ ■エイジングライフ研究所「ボケは防げる・治せる」 http://www.ageinglife.jp/research/02.html ■田平 武「アルツハイマー病研究の最新動向について」 http://www.aluminum-hc.gr.jp/p_6/tahira/tahira_main.html ■植木 彰「アルツハイマー病と食事栄養因子」講演録■ロバート・フリードランド「アルツハイマー病の早期診断について」講演録 ■高島明彦「アルツハイマー病とは?」http://www.brain.riken.go.jp/bsi-news/bsinews1/no1/issue4.html ■原 岳夫「週刊ボケ老人」 http://www.bm8.ne.jp/boke/ ■ためしてガッテン(NHKオンライン) http://www.nhk.or.jp/gatten/ ■日本痴呆学会 http://www.prit.go.jp/chihou ■日本痴呆ケア学会 http://www.chihoucare.org/
シェアする
読むサプリ編集室
「新よむサプリシリーズ」は、クイズ形式でのミニ知識<ウソなの?ホントなの?>や、ダイエットの真実を知る<薬膳レシピ>などを提供。根拠にもとづく健康選択ができるよう応援しています。
[記事提供:株式会社読むサプリ出版]