アレルギーはなくせるVol.1《ウソなの?ホントなの?》

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記事提供:読むサプリ出版「新よむサプリシリーズ」
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アレルギーの原因物質を発見したのは、日本人学者である

日本からの流出頭脳の一人である石坂公成博士(米国・ラホイアアレルギー免疫研究所名誉所長)の発見である。
アレルギーは昔から知られていたが、その実態は長く不明であった。米国コロラド大学医学部准教授であった石坂博士は1966年にアレルギーの原因物質としてIgE抗体(第5番目の免疫グロブリンE)を発見し、アレルギー発症のしくみの理解を可能にした。
IgE抗体は、他の免疫グロブリンと異なり、人間の血清中に100万分の1グラムしかない微量なもの。特異な抗体の働きからその分子を見定めるという石坂博士の卓越したアイデアによる発見であった。その後超微量免疫機能物質であるサイトカイン(インターフェロンなど)研究に広く応用された。
また、IgE抗体はヒトの免疫と関連する免疫細胞の一種であるマスト細胞(肥満細胞ともいう)や好塩基球の細胞表面のIgE受容体に結合し、さらにその細胞表面で抗原とIgE(抗体)結合物が作られると2つのIgE受容体が手を結び、細胞の内部にシグナルが伝達されることを証明した(架橋説)。現在、多くの細胞膜受容体のシグナル伝達に受容体架橋が必要であることが証明されており、IgEから始まる多彩なアレルギー症状の起きる仕組みを細胞・分子生物学的に明らかにした。
石坂博士のこの研究成果は、現在のアレルギーの診断・治療に大きな貢献をした。また、医学の基礎研究がこれほど短期間のうちに臨床に役立った事例は前例がないといわれている。

○アレルギーの日(2月20日)○

財団法人日本アレルギー協会は1995年に、石坂公成博士がアレルギーの原因物質であるIgE抗体を発見した2月20日(1966年)を「アレルギーの日」とした。

 

アレルギー体質の親のこどもは、皆アレルギー体質を受け継ぐ

アレルギー性鼻炎や気管支喘息、アトピー性皮膚炎などに悩む人が家族や親族に多い家系(家族歴)がある。いわゆる「アトピー素因」で、広い意味で遺伝する場合が多いといわれているが、結論は出ていない。
アレルギー反応は今まで述べたようにⅠ型からⅣ型まであり、それぞれの反応が関与する多様な病気が存在する。そのすべてが遺伝するかどうか、さらには遺伝子治療などができるようになるのか、などは今後の研究を待ちたい。

 

70年代生まれの日本人は9割がアレルギー体質だ

これはびっくりの異常な高率である。
この研究は、70年代生まれの慈恵会医科大学の学生を対象に、スギ花粉、ダニなどの抗原(原因物質)に対応するIgE抗体を持っているかどうかを調べたもので、いずれかの抗体を持つ人が86%にものぼった。出入りの医療関係会社の社員でも88%と、ほぼ90%の人がアレルギーになりやすいIgE抗体の持ち主というわけだ。
今、「衛生的な環境で育った乳児はアレルギーになりやすい」という仮説が注目を浴びている。かつては日本人のおなかにおおいばりでいた寄生虫の回虫もいない事実からも、日本では70年代に乳幼児を取り巻く環境が劇的に改善したといえる。

○回虫がいると…○

おなかの寄生虫はESC(糖タンパク質)を作り出し、それが宿主(人間)にIgE抗体を作らせ、マスト細胞(肥満細胞)を包み込むので、アレルギーを起こすヒスタミンが出ない。回虫も役立つこともあるのだ(東京医科歯科大学 藤田紘一郎教授の研究)。

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[記事提供:株式会社読むサプリ出版]